老人ホームを利用する際、健康診断書の提出が必要になります。入居の審査をする時の参考資料としても使われるため、提出が必須なのです。そこで、老人ホームを利用する時に作成する健康診断書について、作成方法や記載項目・有効期限などについてご紹介します。
老人ホームを利用する方や家族の方も、参考にしてみてください。
健康診断書とは、その人の健康状態について記載された書類です。通常は医療機関で作成してもらい、医師の署名や捺印が必要になります。老人ホームの場合、入居者の体調管理が重要です。特に、持病がある人には適切な管理が必要になり、持病の有無や服薬の状況を確認しなければなりません。
施設側は状況を把握するために、健康診断書を提出してもらうのです。また、施設によっては、持病がある人の入居を制限している場合もあります。それらの確認をするためにも、健康診断書の提出が必要なのです。健康診断書は持病の有無だけでなく、感染症の有無も確認できます。
例えば、HIVやB型肝炎・結核などの感染症は、適切な措置をしながら対応しなければなりません。接触感染や血液による感染がある場合は、施設側でもしっかりと管理をしなくてはならないのです。そこで、老人ホームの利用希望者の健康診断書を参考に、感染症の有無を確認します。
もし、感染症を理由に断られた時には、適切な措置が受けられる施設を紹介してもらえる場合もあるでしょう。老人ホームでは高齢者や免疫力が低下している人もいるため、他の利用者に影響を及ぼさないかも確認しているのです。
老人ホームへの健康診断書は、長期入居型だけでなく、ショートステイを利用する時にも必要です。ショートステイでも、持病や感染症の有無によって、対応が異なります。そこで、事前に把握するためにも、健康診断書が必要なのです。
健康診断書を作成する時には、かかりつけ医師の診察を受け、現在の状況が記載された書類を作成してもらいます。状況によっては、過去に患った病気や感染症の記載も必要です。一般的には電話などで予約をすると、必要書類の有無や日時の相談ができます。
かかりつけの医師がいない時には、自宅の近くにある病院へ連絡し、健康診断書の作成をしてもらえるか確認するといいでしょう。健康診断を行う時には、数時間かかる時もあります。つまり、初めて受ける病院の場合は、事前に確認をするといいのです。
老人ホーム側から健康診断書の書式を指定される場合もあるため、その時にはそれに従います。健康診断書の作成は、健康保険適用外です。よって、作成してもらう費用は、全額自費になります。通常は書類の作成料金と検査費で、約1万円~2万円かかるでしょう。
健康診断書の料金は各病院で決められるため、5,000円~8,000円ぐらいで設定している場合が多いです。ただし、レントゲンや他の検査を含めていくと、1万円以上かかってしまいます。
健康診断書は当日に完成するのではなく、多くの病院では数日~数週間後に完成します。なぜなら、検査の結果が出るのは、数日~1週間ほどかかるからです。病院にCTやMRIなどの検査機器がない時には、総合病院などで受けに行く時もあります。
その場合には、さらに数日~数週間かかってしまうでしょう。また、担当した医師が書類を作成するため、検査結果を確認してから作成するまでに数日かかります。診察を受けた時に、病院側から完成する日を伝えられることが多く、その日以降に取りにいくといいでしょう。
病院によっては、健康診断書が完成したら、電話で教えてくれる場合もあります。
健康診断書を作成してもらった後は、速やかに老人ホーム側へ提出します。なぜなら、健康診断書の有効期限は、90日だからです。90日を経過してしまうと、健康状況も変わると判断され、新しい健康診断書の用意が必要になります。
また、作成日よりも3ヶ月以上前に行った検査内容だけでは、健康診断書は作成できません。近い時期に行った検査の結果は使えますが、通常は新しく診察や検査をすることになるでしょう。
健康診断書に記載する内容は、「血液検査」「尿検査」「胸部レントゲン」「感染症の有無」「服薬状況」などです。血液検査と尿検査には合わせて20以上の検査項目があり、体全体の状況が分かります。例えば、貧血の有無や肝臓・腎臓の状況などを確認でき、そこから病気を見つけることも可能です。
血液検査と尿検査は検査方法も簡単なため、通常の健康診断書で必須項目になっています。また、施設によっては、必須にしている検査が異なるため、事前に健康診断書の書式を見せて、指定がある時には伝えることが大切です。
胸部レントゲン写真では心臓や肺の状況を確認でき、呼吸器や循環器に病気がないかを調べられます。胸部レントゲン写真はCTで行う場合が多く、総合病院へ紹介されて撮影することもあるでしょう。感染症の有無も、老人ホームにとって大切な情報です。
感染症がある時には、隠さずに状況を伝えないと、他の利用者に影響を及ぼす場合もあります。感染症の有無は、血液検査や胸部レントゲン写真で分かる場合が多く、改めて他の検査をすることは少ないです。持病の有無と共に服薬状況も健康診断書に記載します。
持病の有無や服薬状況によっては、老人ホームへ入居できない場合もありますが、正直に申告することが大切です。施設側は服薬している内容や回数を把握しなければなりません。特に、服薬介助が必要な人は、しっかりと服薬状況を伝えないと、体調や健康管理に大きな問題が生じることもあるのです。
また、老人保健施設では、利用者の薬代を施設側が負担する決まりになっています。もし、高価なものを服薬している場合、施設側から薬の変更を依頼されることも多いです。万が一、施設側で購入できない薬を飲んでいる時には、入居を断られる場合もあります。
健康診断書がないと老人ホームを利用できない場合が多く、適切に作成することが大切です。施設側から書式が指定されている場合は、それに従ってかかりつけ医に作成してもらいましょう。また、作成日から90日以内に提出する決まりになっているため、それを守ることも重要です。
これを参考に、老人ホームを利用する時の健康診断書について理解してみてください。